• 1998.03.12
    43期「再建プラン」見解プレスリリース98/03
    1998年3月12日 全日空乗員組合

     全日空は3月5日「経営再建プラン」を発表しました。この決定について、全日空乗員組合は以下の見解を持ちましたので、お知らせします。なお賃金体系問題については3月末に向けて精力的に交渉を継続する方針です。


    「経営再建プラン」に対する乗員組合見解


    ■基本方針について

    • 中期事業計画(SPEED21)が破綻しているにもかかわらず、これを根本的に変更しない上での「再建プラン」は、とうてい理解されるものではない。

    • 過大な投資を続ける一方で決算対策をしてでも配当を続けてきた経営方針の転換であり、今回の「無配」は内外に与える影響を意図して選択した経営方針である。

    • 計画以上の生産性向上という、もっとも貢献してきた現場にしわ寄せをする本末転倒の方針である。
    ■復配計画について
    • 3円配当の原資は43億円である。(約14億株)

    ■経営改善のための方策について

     会社の「再建」プランは「責任スリ替え」プランである。

    (1)航空産業:「収益重視の路線構成」、「本業利益率の向上」

    • 無配を大義名分に、生活路線を含めた不採算路線切り捨てなど、公共輸送事業の使命を放棄するものである。


    • 規制緩和の結果として航空連など航空労働者が予想した通りの結果となっている。


    • 一方で最近まで進められてきた収益性のない路線展開への責任を取っていない。


    • 収支悪化は、もともと販売能力を上回る路線拡大が原因であり、これを労働条件をターゲットにした固定費削減にスリ替えている。


    • 営業利益5億円での「無配」にも関わらず、37億円の税金を支払うとしている。(ANAファインスへの25億円を含む関連事業支援策等は課税対象とされる)
    (2)財務体質
    • 過大な借金、過大な投資の失敗の経営責任に全く触れていない。

    • もともと5年間で53機1兆円の過大な投資計画であり、「3年間20%投資先送り」以外、何ら具体的対策が明示されていない。

    • 「グループ各社の財務体質の改善」は、連結決算となる2000年には当然求められる事になっているが、具体策は何も決まっていない。
    (3)人事処遇
    • 本業で5億円の利益にとどまるという危機的な状況としながら、役員報酬10%カットと役員賞与返上継続は、とってつけたような言い訳としか思えない。これ以外の役員数削減等は、これから考えるとしており具体的な方策は何も決まっていない。

    • 社員には「ベースアップゼロ、一時金圧縮、退職金見直し、福利厚生切り下げ」等、早々と具体化している。

    • 人心を荒廃させた経営者に「公正な評価、メリハリのある処遇」など出来るはずもなく、モラル維持と言いながら差別が横行する制度を強行しようとしている。

    • 会社役員の責任に全く言及しようとせず、計画以上の生産性向上に貢献してきた社員の労働条件を切り下げるという「再建プラン」は断じて認められない。

    • 自然減600名を含んだ「社員数1000人削減」は、結果として現有社員数維持としており、外向けの言い訳となっている。

    • 会社に協力してきた管理職の最期の御奉公が「退職」(早期退職、選択定年制、転身制度)という事がはっきりした。

    (4)組織構造

    • 今更という感をぬぐえないが、「本社・本部の重層構造をスリム化」は、非効率をようやく認めたと言える。しかし、具体化については未だ不明である。

    • 「フロント(現場)部門強化」は必要であるが、これまで専門性を軽視してきたツケが回ってきたと判断できる。

    • 現在、旅客のフロントには多くのパイロット訓練生が配置される等、スペシャリスト育成が軽視されてきた問題がある。
    (5)関連事業
    • 「海外ホテル事業の縮小」は遅すぎた判断であり、経営責任を取らないまま問題を先送りする危険性を含んでいる。

    • ホテル部門への投資が約900億円であることは分かったが、累積損失等を曖昧なまま済まそうとする経営陣の無責任体質は改まっていない。

    • P1521の経営方針では、「航空に関係のない事業からは撤退するがホテルは継続する」としていたが、組合が懸念していた通り傷口を広げる結果を招いた。

    • 収支が好調な時期、株主・利用者・社員へ利益を還元すべきであったが、「将来に備える」と称して、バクチ的な投資を行った結果、現在の本業の財政をも圧迫する事態になっている。

    • 本業を支える関連企業への委託費切り下げは安全品質すら低下させるものとなる。

    ★全体の評価★
    • 競争が激しくなる今こそ、本来業務である安全・品質の向上策が必要であるが、これらが全く入っていない。

    • ここに至った原因に対する対策になっておらず、「再建プラン」とは認められない。

    • 「無配」を理由として、労働条件切り下げ等を正当化しようというものである。

    • 人件費切り下げ以外は具体策がない。さらに増収計画も具体化されていない。

    • 真の経営再建プランは経営者が「これまでの失敗」の責任をとる事から始めるべきである。経営者自ら経営危機とする状況にもかかわらず、経営者の反省も責任も示されていない。


    中執見解〉                        
    • 人心を荒廃させた経営陣、経営責任も取れない経営陣にはついて行けない。

    • ここ10年で全日空の収入が73%増となっている通り、真の再建策は航空輸送事業に専念する事である。

    • 労働条件の切り下げは認められない。


    注)なお、経営責任の追及に関する春闘要求についての内容は、1998年2月24日プレスリリース発表通りです。

    ◆乗員組合に関する情報

    代表者:組合長 石飛 明夫

    組合員数:98年2月20現在、1524名。機長、副操縦士、航空機関士等で組織する乗員組合です。地上職、客室乗務員は全日空労働組合(約8000名)に組織されています。

    ◆連絡先:

     担当:書記長/教宣部長となっております。フライトをしながらの組合活動となっておりますので、常に対応することは困難な状況です。

    伝言を頂ければフォローをしたいと考えております。悪しからず、ご了承下さい。

    以上


    全日本空輸乗員組合 中央執行委員会

    All Nippon Airways Crew Association