• 1998.11.15
    Press release memo 15/nov/98

    全日空における安全問題について

    Press release memo 15/nov/98




     全日空乗員組合は、安全に関する会社への申し入れとして、文書をもって次の項目に対応を示すように申し入れましたので、お知らせします。



    全日空乗組発A第44-06号

    1998年11月15日

    全日本空輸株式会社

    取締役社長 野村 吉三郎 殿

    全日本空輸乗員組合

    組合長 石飛 明夫

    交渉経緯を踏まえた安全問題等に関する全日空乗員組合からの申し入れ(98/11/15)




     全日空乗員組合は、平和裡に労使交渉を進めるため以下の通り申し入れますので、11月18日の団体交渉席上、文書をもって誠意ある対応を示されるよう求めます。

     なお、乗員組合は会社回答と労使交渉の推移を見極め、以後の方針を検討します。

    1.安全問題

    (1)航空機の安全性確保と定時性確保を両立させるための具体策を、乗員、整備、営業サイド別に示すこと。
    (2)MELを適用できない機体さえもリリースすることのある整備体制を抜本的に改める具体策を示すこと。
    (3)整備作業に圧力となるような営業サイドの言動は厳につつしむよう具体策を講じること。
    (4)定時性は現場の常識であり、オンタイムをノルマ、成績とするようなキャンペーンはやめること。
    (5)GTB/ATBを含め安全に関する情報は全て開示し、月に1回、乗員組合に説明する場を設けること。
    (6)FCC/STCはMEL関連情報を事前に把握し、ブリーフィングの際、書面をもって機長に提示すること。

    2.勤務問題

    (1)グローバルスタンダードの観点にたった労使合意に至るまで、少なくともサンフランシスコから成田はマルチプル編成とすること。

    3.NCA問題

    (1)NCAへの乗員の派遣について、全日空、NCA、全日空乗員組合の3者で協議する場を設けること。


    以上



    【主旨説明】

    1.安全問題

    (1)安全の確保は言うまでもなく航空会社の使命です。そのもとで定時性があります。今まで会社が経営方針として安全と定時性を同列に見た企業運営を実践してきた為、今回運輸省の臨時立入検査を受ける様な事態に至っていると考えられます。今後は、言葉だけでなく安全を優先する観点での企業運営の実践が求められており、経営の基本方針全般に渡り、具体的な改善策の策定が必要です。
    (2)現行規定類では、機長には整備規定に合致した機体が提供され、機長は飛行機運用規定に従い運航する制度となっています。しかし昨今は、整備規定の基準に合致しない機体での運航を、機長が要請される事例が発生しております。会社は、「整備は航空法に合致しない、整備規定に違反した飛行機でも機長に飛べと言うことが今の全日空では残念ながらある。」「機長には判断のつけられない不具合を抱え、整備のアドバイスに従ってフライトした場合であっても、結果規定違反であれば機長は結果責任を持つ」と言ってはばかりません。会社自らこのように言い切る全日空の整備体制には組織制度、組織の運営方法、組織の機能、組織の風土、に問題があるとしか考えられません。これらを改め再発防止の為の土壌づくりをすることを改革の第一歩として求めます。乗員がこのような社内運航環境に置かれている限り、機長は航空法に抵触する運航を強いられる可能性があり、改善が必要です。
    (3)今、旅客担当者(搭乗口案内担当者)は旅客搭乗前の整作業備実施中に、旅客搭乗時間を整備士、乗員との打ち合わせなく一存で決めたり、旅客に根拠のない搭乗開始予定時間をアナウンスするなど、旅客担当者は、機体の整備情況に関心を払うことなく、旅客の処理をしている実態が報告されています。旅客担当者の役割として多少出発が遅れても無用な混乱を旅客に与えることなく、正確に作業の情況を伝える事が大変重要です。出発遅延で「旅客が混乱している」、「収拾がつかない」などと言ったような旅客担当者の未熟が引き起こしている事態によって、整備作業を急がせる事がないよう、営業サイドの問題としての改善要求です。
    (4)航空会社として定時運航維持は常識であり、現場の自発的な判断努力に委ねるべきものです。オンタイムキャンペーンの名のもとに運航管理や整備の職場では、定時運航の達成レベルが個人や職場単位のノルマや成績評価に使われています。それが壁に張り出されるなどで競争を煽られ、現場の成績評価にすら反映されていると言われています。「成績をあげたい」、「遅れで上司から叱責を受けたくない」という各個人の思いが、多少のことなら飛ばしてしまうという風潮となり、社内に蔓延し始めているのではないかと危惧をしています。

     言うまでもなく定時運航は重要ですが、追加的な整備をすると、遅れや欠航が出るという様な過密運航スケジュールもとでのオンタイムキャンペーンは、安全に対するネガティブキャンペーンであり、見直しが必要です。
    (5)全日空では、機材故障等による空中引き返し、地上引き返し、が多発しています。また、機内での粗暴旅客の発生など、放置しておくことの出来ない事例がつづいています。異常運航や、特異な不具合については、その再発防止のために、直ちに事実を周知し原因を分析を全乗員の関心のもとで行うべきと考えます。今の全日空には、運航の経験に学び教訓とするという姿勢が欠けています。その例として、異常運航にかかる機長の報告書、重大な整備上の不具合等に関する全ての書類を乗員に開示していません。この様な事例の技術的情報の共有は、労使の分け隔てなく行うべきと考えます。乗員組合に定期的にローデータを開示し説明をする義務が会社にあります。
    (6)運航管理部門は規程により、MEL適用の協議に参加しなければならないとなっていますが、それがなされていない事例が散見されます。会社は機長に規程を厳格に適用する一方で、運航管理部門では規程通りの業務がなされていないことを放置しています。機長の職責を厳格に果たせる環境をつくるため、運航管理部門にも、規程に則った業務を誠実に行う様、会社に申し入れています。

    2.勤務問題

    (1)乗務時間8時間以上の飛行については交代要員の乗務を求めています。今全日空の乗員は飛行時間11時間まで交代要員なしで飛行しています。冬場はサンフランシスコ→成田間は飛行時間11時間を超えますが、会社は、10時間50分で飛ぶと言っています。全日空はユナイテッド航空(UA)とのコードシェアリングを始めましたがUA(米国エアラインは全て)は同一路線において、交代要員を乗務させています。この問題は、乗員の疲労と安全性の関係について日米間の認識の違いが表れています。現場ではサンフランシスコ線を交代要員なしで飛ぶことに安全と健康の両面で、大きな不安があるとの声が多く出されています。

    3.NCA問題

     NCA(日本貨物航空)への全日空からの乗員派遣問題は、労使の大きなテーマとなっており、派遣の形態、勤務の水準、賃金について全日空、NCA、全日空乗員組合の3者による協議を申し入れています。





    全日本空輸乗員組合 中央執行委員会

    All Nippon Airways Crew Association